2017年 |
2017年12月 | 第165回さわやかネット句会 | 作品 特選句短評 | |
2017年11月 | 第164回さわやかネット句会 | 作品 特選句短評 | |
2017年10月 | 第21回吟行句会 | 作品 | |
2017年10月 | 第163回さわやかネット句会 | 作品 特選句短評 | |
2017年9月 | 第162回さわやかネット句会 | 作品 特選句短評 | |
2017年8月 | 第161回さわやかネット句会 | 作品 特選句短評 | |
2017年7月 | 第160回さわやかネット句会 | 作品 特選句短評 | 句会管見(7) |
2017年6月 | 第159回さわやかネット句会 | 作品 特選句短評 | 句会管見(6) |
2017年5月 | 第20回吟行句会 | 作品 | |
2017年5月 | 第158回さわやかネット句会 | 作品 特選句短評 | 句会管見(5) |
2017年4月 | 第157回さわやかネット句会 | 作品 特選句短評 | 句会管見(4) |
2017年3月 | 第156回さわやかネット句会 | 作品 特選句短評 | 句会管見(3) |
2017年2月 | 第155回さわやかネット句会 | 作品 特選句短評 | 句会管見(2) |
2017年1月 | 第154回さわやかネット句会 | 作品 特選句短評 | 句会管見(1) |
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第165回さわやかネット句会 (2017年12月) 参加者:9名 |
■ 作 品 ■■
楽焼の鉢に風呂吹き鎮座せり 舞岡 柏葉 ← 最高得点
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■第165回インターネット句会特選句短評■■ |
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笑み零(こぼ)る遺影の母に小春かな(名瀬庵雲水) |
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第164回さわやかネット句会 (2017年11月) 参加者:16名 |
■ 作 品 ■■ 角切や抵(あらが)ふ鹿の猛き貌(かほ) 舞岡柏葉 ← 最高得点 |
■第164回インターネット句会特選句短評■■ |
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やや寒や今朝の仁王の怒り肩(境木権太)
木枯らしに慌てて探す毛糸帽 (川瀬峙埜) 風の手を借りて盛んや夕蘆火(舞岡柏葉) 台風禍泣いて笑って総選挙(飯塚武岳) 腹見せてボートの昼寝冬隣 (舞岡柏葉) |
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第21回吟行句会
平成29年年10月20日(金) 10時〜16時 |
■ 作 品 ■■ 濡れそぼつ茅葺き屋根に冬近し 浅木純生 ← 最高得点 |
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第163回さわやかネット句会 (2017年10月) 参加者:16名 |
■ 作 品 ■■ 介護士の訪(おと)なう家や秋すだれ 舞岡柏葉 ← 最高得点 |
■第163回インターネット句会特選句短評■■ |
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茜新夫婦(めおと)寿ぐ(ことほぐ)ホバリング(翁山歩存) |
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第162回さわやかネット句会 (2017年9月) 参加者:15名 |
■ 作 品 ■■ 走行(そうあん)の僧の真白きスニーカー 舞岡 柏葉 ← 最高得点 また祖父に尋ねたとあり花石榴 たま 四不像 ← 最高得点 境内に狸の親子盆の月 飯塚 武岳 無花果や妊る娘日々豊か 境木 権太 つゆ草や亡夫の歳を十も越え 千草 雨音 秋兆すキリスト像の白き肌 浅木 純生 金管が晩夏を揺らすジャズ一夜 名瀬庵 雲水 唐黍や剥きたる皮の山となり 川瀬 峙埜 霧走り馬に引かれし空車(むなぐるま) 森 かつら 芙蓉咲き母百歳を数えり 志摩 光月 誰ぞ知る木槿(むくげ)の秘めし片思い 真野 愚雪 甲子園声援消えし晩夏光 翁山 歩存 処暑過ぎて空では雲の入れかわり 小正 日向 陽が落ちて草叢の庭虫時雨 遊戯 好楽 日盛りを子犬主と歩を合わせ 石 敬 |
■第162回インターネット句会特選句短評■■ |
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境内に狸の親子盆の月 (飯塚武岳) つゆ草や亡夫の歳を十も越え(千草天音) 送行(そうあん)の僧の真白きスニーカー (舞岡柏葉) 篝火の雨降りしきる鵜の修羅場 (境木権太) 無花果や妊る娘日々豊か(境木権太) 海上に花火あがりて闇動く(たま四不像) また祖父に尋ねたきこと花石榴(たま四不像)
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第161回さわやかネット句会 (2017年8月) 参加者:14名 |
■ 作 品 ■■■ 打ち水の押し流したる日のかけら 梵 天 ← 最高得点 書をおきてふと思い立ち胡瓜揉む 志摩光月 |
■第161回インターネット句会特選句短評■■ |
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雨上がり蝉初鳴きに頬ゆるむ 千草雨音 |
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第160回さわやかネット句会 (2017年7月) 参加者:15名 |
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■ 作 品 ■■■ 背筋のび男日傘の街歩き 志摩光月 ← 最高得点 |
■第160回インターネット句会特選句短評■■ |
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寝転んで父と語った夏座敷 境木権太 紫陽花や心変わりを告げられて 飯塚武岳
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文語文法の留意点
背筋のび男日傘の街歩き 志摩光月 寝転んで父と語った夏座敷 境木権太 梅雨ぐもり友に老い見る同期会 翁山歩存 夕顔や稽古帰りの下駄の音 千草雨音 サングラス他人となりて街歩き 石敬 |
第159回さわやかネット句会 (2017年6月) 参加者:14名 |
■ 作 品 ■■■ 噴水のてつぺんにある無重力 梵天 ← 最高得点 |
■第159回インターネット句会特選句短評■■ |
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甘酒や店先の子ら石けりし 森かつら 噴水のてつぺんにある無重力 梵天 若葉して牛の乳房も豊かなり 境木権太 |
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選句者の責任 若葉して牛の乳房も豊かなり 境木権太 風の香も流るる雲も聖五月 舞岡柏葉 重なりて夏空仰ぐ親子亀 飯塚武岳 水玉の踊る童女の夏衣 舞岡柏葉 子は目開け母即寝入る昼寝かな 千草雨音 |
平成29年5月12日(金) 第20回吟行会(子規庵&書道博物館) 参加者:12名 |
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■ 作 品 ■■■ | |
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第158回さわやかネット句会 (2017年5月) 参加者:16名 |
■ 作 品 ■■■ |
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■第158回インターネット句会特選句短評■■ |
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石楠花(しゃくなげ)の水影くずす池の鯉 | たま四不像 |
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ただの凡庸)静かで美しい情景が浮かんできます。 | |
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翁山歩存)情景がよく分かり、着眼点が面白いと思いました。。 |
花吹雪唇赤き巫女二人 | 千草雨音 |
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小正日向)花吹雪の向こうに、巫女姿の二人が幻想的に見える景色が浮かび、いい句だと思いました。 |
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斧知らぬ森百年の緑かな | 奥隅茅廣 |
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千草雨音)里山のやわらかい緑のグラデーションが目に優しく、心身を癒してくれます。景色を的確に詠まれ感じ入りました。 |
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後十年春のいぶきを楽しまん | 志摩光月 |
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遊戯好楽)私は今期より全科生となり、10年間楽しんでいこうと思っていた(なので俳号を「遊戯三昧」からもらった)ので、この句に共感しました。 |
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レンゲさきみつばち騒ぐ田圃かな | 小正日向 |
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奥隅茅廣)レンゲに集まる蜜蜂の飛び回るようすいいですね。 |
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鋭角の阿修羅の鼻梁春かすみ | 舞岡柏葉 |
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たま四不像)今回の自分的選句テーマは、作者ならではの個性あるピンポイントでの目の付けどころがありさらに表現が平凡でなく情景がみえてきた句、俳句らしい俳句と思われたものを選びました。なかでも「鋭角の阿修羅の鼻梁」にピンポイントで迫ったこの句は、読んでいて阿修羅に、ぐっとズームレンズで引き寄せられたようなすばらしさがあり、春かすみという季語も良いなあと思いました。きっと俳句に長けているかたが作られたのかなと。 |
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百人に百の晩節木の芽和 | 梵天 |
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舞岡柏葉)来し方を引きずり残りの人生の生きざまは多様なのだという作者の懐の深い観察眼に敬服。 |
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木に羽織る薄紫や山の藤 | 境木権太 |
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石敬)靄のかかった山裾一面を、藤の花がまるで羽織るがごとく覆いつくしている景色が観てとれます。美しい句ですね。 |
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潮風の頬たたきゆき夏近し | 飯塚武岳 |
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志摩光月)海辺に立っていた時に潮の香を含む風が吹いて来た。もうじき夏だなと感じた。明快な句だと思います。「頬たたきゆき」が良いです。 |
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助詞の使い方「米洗ふ前に蛍が二つ三つ」
窓外に無音の世界花吹雪 奥隅茅廣 朝焼けの瀬戸内の海波静か 遊戯好楽 柿若葉乳の匂ひの赤子抱く 千草雨音 葛切りや吉野の山を降りてより 境木権太 踏み石に腹温めて蜥蜴かな 奥隅茅廣 |
第157回さわやかネット句会 (2017年4月) 参加者:14名 |
■ 作 品 ■■■ |
庭すみに猫の足あとなごり雪 | 飯塚武岳 | ←最高得点 |
それぞれの不器用なりの初桜 | 夏陽きらら | |
御仏のみな佳き容花の雨 | 梵天 | |
学びあり食に遊びて桜散る(桃風さんを偲んで) | 奥隅茅廣 |
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椿落つ我が人生に悔ひなしと | 千草雨音 |
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朝寝して叱る人さえなかりけり | たま四不像 |
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ランドセル夢いっぱいの玉手箱 | 野路風露 |
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舞い落ちる桜一片酒旨し | 佐々木登 |
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友の死やなお鮮やかに落ち椿 | 境木権太 |
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沈丁花風に抱かれ香の便り | 翁山歩存 | |
山笑い峠を越えるちからわく | 小正日向 | |
空き家にも麗に咲くや小米花 | 菊地智 | |
朝雨によれる一片(ひとひら) 桜かな | 森かつら | |
春愁う喜寿の祝いが哀悼に | ただの凡庸 | |
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■第157回インターネット句会特選句短評■■ |
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それぞれの不器用なりの初桜 | 夏陽きらら |
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ただの凡庸)咲き始めでばらばらに咲いている桜を不器用なりの言葉にひかれました。 | |
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森かつら)新年度、それぞれの人生を初桜に例えているのか、いい句と思います。。 |
沈丁花風に抱かれ香の便り | 翁山歩存 |
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小正日向)風に乗って、ほのかに匂ってくる沈丁花の本当にいい香りがしてくるような気がします。 |
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御仏のみな佳き容花の雨 | 梵天 |
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夏陽きらら)吉野山に桜を観に出かけたことがある。生憎の冷たい雨で花祭りも延期になった。 けれど、嫋々と降りしきる雨に物憂げな桜の様が忘れられない。仏さまは時に艶かしく映ることもあり、「花の雨」という季語に実感がわきました。 |
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ランドセル夢いっぱいの玉手箱 | 野路風露 |
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佐々木登)小学1年生になった喜びが、我々周りの人たちにも伝わってきます。春らしいいい句だと思いました。 |
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菊根分けしている背中まるで父 | 小正日向 |
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菊地智)親父の背中を見て育った自分が株分けしている姿、親にだぶらせて、仕草までそっくり、親子ですね! |
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蜥蜴(とかげ)いで縄文遺跡かけのぼる | たま四不像 |
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野路風露)蜥蜴と縄文遺跡があっていていいと思います。 |
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音信の途絶えし人やミモザ咲く | 野路風露 |
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境木権太)昔親しかった学友も音信が途絶えて久しい。 ミモザが咲いて出会いと別れの季節の春が巡ってきて、学生時代の懐かしい顔を思い出す。桜でもいいがミモザの方が若々しくて洒落ている。 |
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庭すみに猫の足あとなごり雪 | 飯塚武岳 |
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千草雨音)なごり雪に猫の足あとを見つけた時のほのぼのとした気持ちに共感を覚えます。 |
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舞い落ちる桜一片酒旨し | 佐々木登 |
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奥隅茅廣)静かな時を花見に過ごす至福の時ですね。 |
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学びあり食に遊びて桜散る(桃風さんを偲んで) | 奥隅茅廣 |
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翁山歩存)木村さんを偲ぶ句の中から選びました。 |
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椿落つ我が人生に悔ひなしと | 千草雨音 |
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たま四不像)今回は桃風さんを偲んだ句を選ばせていただきました。そこで選句が自分だけ6句になってしまったことお詫びいたします。 どの句にも作ったかたのお気持ちがあらわれ、どれかひとつに○をするのは難しいことでした。 そこでいつも桃風さんがおっしゃっられていた「我が人生に悔いなし」 、 いかにも桃風さんらしいお人柄が偲ばれます。34に○を付けさせていただきました。 |
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平凡な句(虚子俳句問答より) 朝寝して叱る人さえなかりけり たま四不像 赴任地の一人住まいや春浅し 境木権太 空き家にも麗に咲くや小米花 菊地智 蜥蜴(とかげ)いで縄文遺跡かけのぼる たま四不像 友の死やなお鮮やかに落ち椿 境木権太 |
第156回さわやかネット句会 (2017年3月) 参加者:17名 |
■ 作 品 ■■■ |
春雷やぴくりと動く馬の耳 | 梵天 | ←最高得点 |
望郷の外人墓地や春一番 | 飯塚武岳 | |
春月をときをり揺らす湯音かな | 夏陽きらら | |
童顔の組み木の雛の微香かな | 千草雨音 |
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沈丁花母よみがえる庭の隅 | 境木権太 |
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梅咲いてほころぶ昼の幕の内 | 木村桃風 |
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たくましき海女の足裏ひらひらり | 舞岡柏葉 |
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吹き荒れて髪の乱れや春一番 | 奥隅茅廣 |
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話すことあるような母ぶり大根(だいこ) | たま四不像 | |
啓蟄や割れ目継ぎ目の群れ遊び | 森かつら | |
流感や庭の小鳥の楽し気な | 志摩光月 | |
鉢物や窓辺に並び日脚伸ぶ | 菊地智 | |
野に出(い)でて笑顔の出会ひ蕗の薹 | 翁山歩存 | |
朝の道木芽の太りを風つたへ | ただの凡庸 | |
雛飾りまだ見ぬ孫に思いはせ | 小正日向 | |
歳を取り春待ちどうしほとどぎす | 相模野之長山 | |
路地奥に太鼓響きて初午や | 川瀬峙埜 | |
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■第156回インターネット句会特選句短評■■ |
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満ち潮やどつと生まるる春の水 | 夏陽きらら |
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翁山歩存)潮が満ちてくる様子を"どっと生まるる"としている表現がいい。 |
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吹き荒れて髪の乱れや春一番 | 奥隅茅廣 |
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小正日向)春一番の風の荒れ狂う様子がよく伝わります。 |
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春雷やぴくりと動く馬の耳 | 梵天 |
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千草雨音)日常では、馬を見る機会に恵まれませんが、春雷の鳴り響く様と馬の耳の小さな動きとの対比が効いていて、一瞬の景をとらえたいい句だと思いました。 |
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沈丁花母よみがえる庭の隅 | 境木権太 |
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木村桃風)今は亡き母の好んだ沈丁花、今年も香りを運んで母が偲ばれる。母を偲ぶ風情がよく伝わります。 たま四不像)今回の自分的選句基準は、まず目の付けどころが面白く、作句の言葉に作者の実感がこもっていると感じたものです。 母もの孫もの妻ものなどは、なかなか作るのが難しいとされていますが、香りで庭の隅に母がよみがえるとは、読んでの共感もあり、作者の実感もあり、句に情感もあり、わかりやすさもあり、何気ないさり気なさもあり、巧い!と思いました。 |
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香を運ぶ塀はみ出して枝垂梅 | 境木権太 |
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菊地智)枝の下がる樹木に 桜、桃、梅、柳等があります。何れも絵になります、ほのかな梅の香り、いいですね。 |
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春月をときをり揺らす湯音かな | 夏陽きらら |
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境木権太)露天風呂に入って湯に映る春の月を眺めているのでしょうか。ぼこぼこと時折湯が沸き上がり、月影を揺らす。ゆったりとした温泉の情景が目に浮かびます。 |
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望郷の外人墓地や春一番 | 飯塚武岳 |
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夏陽きらら)港町ヨコハマの潮の香りも届くようなみずみずしい句だと思いました。異国の地に亡くなった方達の想いが春風にのって待っている人の許へ届くと良いのに・・・私の髪が風にみだれるような感覚を覚えました。 川瀬峙埜)つい身近な事ばかりに囚われてしまいがちですが春一番に吹かれて外人墓地を歩けば遠い時代と遠く離れた土地に思いが行きますね。 |
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野火走る海鳥の声しはがれて | 梵天 |
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ただの凡庸)海鳥は渡り鳥なのだろうか。冬の間に鳴き続けていた海鳥も、野火の季節になって声がかれてしまった。 |
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梅咲いてほころぶ昼の幕の内 | 木村桃風 |
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奥隅茅廣)満開の梅の下で花見の弁当を開く楽しみ目に浮かびますね。 |
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高浜虚子の客観写生
童顔の組み木の雛の微香かな 千草雨音 さくらさくらかけくる君へそよぎ濃し 夏陽きらら 仕舞癖去年のままの雛をだす 菊地智 春月をときをり揺らす湯音かな 夏陽きらら 鬼やらい子らの声せず静かなる 菊地智 以上
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第155回さわやかネット句会 (2017年2月) 参加者:15名 |
■ 作 品 ■■■ |
湯たんぽや母は母なり老ひてなほ | 千草雨音 | ←最高得点 |
乾鮭(からざけ)や虚ろなる眼と空(うろ)の腹 | 舞岡柏葉 | |
立ちのぼる土のにほひや霜柱 | 梵天 | |
見届けし限界集落寒すみれ | たま四不像 |
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寒の月鋭いひかり闇を射る | ただの凡庸 |
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初空を切り裂き光る戦闘機 | 飯塚武岳 |
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門松の数少なさや街静か | 奥隅茅廣 |
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梅一樹寒の尖りも芽吹きけり | 翁山歩存 |
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豆まきや国境に壁福は内 | 志摩光月 | |
綱受けて寡黙な力士初笑い | 境木権太 | |
冬木の芽命を包みまだ固し | 菊地智 | |
高齢を襲う冬の寒暖差 | 相模野之長山 | |
寒風に訃報聞くなり茫々と | 浅木純生 | |
寒に堪え仰げば白き富士の峰 | 木村桃風 | |
冬の山白と黒とのハーモニー | 野路風露 | |
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■第155回インターネット句会特選句短評■■ |
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寒の月鋭いひかり闇を射る | ただの凡庸 |
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木村桃風)寒空の月の光は一段と尖ります。身に染みて句意が伝わります。 |
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コンビニに流るる雅楽初茜 | 舞岡柏葉 |
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境木権太)正月の朝茜空をちらりと見上げながら立ち寄ったコンビニ。そこには正月恒例の古典的な雅楽が流れている。現代日本の都会暮らしの情景が鮮やかに描写されている。 |
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門松の数少なさや街静か | 奥隅茅廣 |
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菊地智)実感です。輪飾りで代用する家が多いようです。節分の豆が道路に落ちてるのも極端に少なくなっています。 |
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湯たんぽや母は母なり老ひてなほ | 千草雨音 |
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たま四不像)1月の自分的選句基準は 「日常生活のなかでこういうことってあるあ る」という共感がその句からこちらに通じてきたものを5句選びました。そのなかでもさらに「仰るとおり!」と思ったこれを特選にしました。「湯たんぽ」が「湯湯婆」だったらもっと面白いのに・・・ というのはお笑い 好きの勝手な思い、失礼いたしました。 舞岡柏葉) 元気でいてほしいと思っている母にふと老いを感じた作者の思いに想像が広がりました。 志摩光月)母が逝って8年になりますが、気丈な母を懐かしく思います。 浅木純生)懐かしい母の暖かさ、温もりということですね。 野路風露)親は子供がいくつになっても親なのですね。我が家の夫の母の姿がまさしくこれです。 |
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初場所や寡黙の男眼に涙 | ただの凡庸 |
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奥隅茅廣)館内の歓声の中目頭をぬぐう1人の力士の姿が今でも眼に浮かびます。 |
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豆まきや国境に壁福は内 | 志摩光月 |
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千草雨音)17文字に見事にトランプ大統領の大統領令の1つについてを詠まれた時事俳句。脱帽です。 |
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唄ひつつ半鐘独楽は踊りをり | 千草雨音 |
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ただの凡庸)お正月を感じました。ブーンブーンうなる独楽を表現した'半鐘独楽'という言葉にひかれGoogleで検索しました。'半鐘独楽'という季語がありました。こんな季語を知っているだけで凄いと思いました。 |
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乾鮭(からざけ)や虚ろなる眼と空(うろ)の腹 | 舞岡柏葉 |
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翁山歩存)干乾し状態の鮭の姿がよくあらわれいる。 |
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正岡子規の俳句革新運動(近代俳句の出発)
乾(から)鮭(ざけ)や虚ろなる眼と空(うろ)の腹 舞岡柏葉 綱受けて寡黙な力士初笑い 境木権太 コンビニに流るる雅楽初茜 舞岡柏葉 初空を切り裂き光る戦闘機 飯塚武岳 薄氷や歪んだ空を映しゆき 飯塚武岳
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第154回さわやかネット句会 (2017年1月) 参加者:17名 |
■ 作 品 ■■■ |
冬霧の重さを曳いて漁戻る | 梵天 | ←最高得点 |
風呂吹きや女房の愚痴を箸で刺し | 菊地智 | |
柊(ひいらぎ)の棘の鋭き今朝の冬 | 舞岡柏葉 | |
すり抜けて振り向く猫も師走の目 | 木村桃風 |
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こたつ猫おのれ貫き通しけり | たま四不像 |
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煮こごりの箸に伝わる重さかな | 翁山歩存 |
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妻の編む地蔵の頭巾歳用意 | 境木権太 |
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淡緑の香り広がる畳替え | ただの凡庸 |
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雑煮餅幾つと母の声がする | 浅木純生 | |
人並に猿瞑想の柚子湯かな | 奥隅茅廣 | |
友を待ちさざんかの花落つを見ゆ | 志摩光月 | |
拍子木が通りにひびく冬の暮 | 小正日向 | |
あれやこれやり残しあり年の暮れ | 野路風露 | |
自分へのご褒美に買ふ冬薔薇 | 千草雨音 | |
紅白におぼろ昆布の晦日蕎麦 | 川瀬峙埜 | |
忘れようあの日のことは除夜の鐘 | 飯塚武岳 | |
賀状書く新しき友嬉しけり | 石敬 |
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■第154回インターネット句会特選句短評■■ |
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柊(ひいらぎ)の棘の鋭き今朝の冬 | 舞岡柏葉 |
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志摩光月)冬の朝の尖った感じを、柊の棘でよく表していると感じました。 |
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淡緑の香り広がる畳替え | ただの凡庸 |
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奥隅茅廣)新しい畳表の色そして香りいいですね。しかしそれを知らぬものが多い世の中、変わりましたね。 |
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凜として魅惑の立居冬薔薇 | 翁山歩存 |
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石敬)拙宅の庭でも、寒い冬にもかかわらずミニバラが元気に顔を出しています。バラの凛としてという表現が、気性の激しい、でも美しい女性の姿を思わせて、いい句ですね。 | |
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老二人言葉少なに冬構 | 境木権太 |
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野路風露)言葉は少なくとも思いやりが伝わってきます。 |
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よく笑ふ座敷わらしと冬籠 | 梵天 |
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たま四不像)今回は新しい年明けでもありますし「笑う門には福来る」で、「ユーモアや滑稽味のある句」と選句のテーマを決めました。「風呂吹きや女房の愚痴を箸で差し」と迷いましたが、こちらは明るい苦笑、選んだものは面白い微笑、「よく笑ふ」というところで思わず「よく笑って」しまったのでこれにしました。 |
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風呂吹きや女房の愚痴を箸で刺し | 菊地智 |
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境木権太)夫婦二人の夕ご飯。奥方の愚痴を聞く以外に話しは弾まず、風呂吹き大根を串で突き刺しながら聞き流す。老夫婦の夕餉の景が鮮やかです。 浅木純生)お内儀の愚痴を聞きながら、晩酌でしょうか。大根のよく煮えて柔らかいのに箸をつき立てて、ささやかな抵抗を試みたということでしょう。 ここで何か言おうものなら百倍になって帰ってきます。ここは忍のひと文字、さようでござるご同輩。 川瀬峙埜)柔らかく煮た大根であれば問題無し。夫婦間の感情の機微を句にするのは難しいですがこの句は嫌味も無く「くすっ」と詠めます。 |
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こたつ猫おのれ貫き通しけり | たま四不像 |
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舞岡柏葉)飼い主に媚ない猫の情景がうまく表現されていると思います。 |
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友を待ちさざんかの花落つを見ゆ | 志摩光月 |
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木村桃風)この寒い日にどれだけ長い時間待っていたのか想像を逞しくさせます。 |
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冬霧の重さを曳いて漁戻る | 梵天 |
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ただの凡庸)冬の霧深い暗い海から、夕方港に戻ってきた漁船の光景が眼に浮かんでくる。 翁山歩存)冬の海の雰囲気が上手く表現されていると思う。 菊地智)モノトーンの世界。霧の中から帰ってくる船、大漁かな? |
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煮こごりの箸に伝わる重さかな | 翁山歩存 |
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千草雨音)煮こごりの美味しさと、持ち上げた時のプルプルとした持ち重みが実感される親しみのある好きな句です。 |
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妻の編む地蔵の頭巾歳用意 | 境木権太 |
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小正日向)頭巾(たぶん赤色)を被られたお地蔵様の優しいお顔が目に浮かびほっこりしました。 |
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皆様、明けましておめでとうございます。今月から、さわやかネット句会の句会管見をスタートさせます。宜しくご愛顧のほどお願いします。年の初めに当たって、先人の言葉を紹介しご挨拶とさせていただきます。
車椅子押して師走の美容院 菊地 智 すり抜けて振り向く猫も師走の目 木村桃風 こたつ猫おのれ貫き通しけり たま四不像 初春や柚子の香りの砂糖菓子 浅木純生 煮こごりの箸に伝わる重さかな 翁山歩存 |